随意随想

「高齢者からの相談が2年連続で増加」

大阪市消費者センター所長 西山 嘉和

大阪市消費者センターでは、悪質商法の被害を受けた場合など、消費生活上のさまざまなトラブルについて、大阪市内にお住まいの消費者を対象に、相談を受け付け、解決のための助言やあっせんを行っています。

平成23年度に消費者センターで新たに受け付けた件数は2万2889件と、前年度と比べ約2000件増加しました。

主な増加原因として、平成23年度に実施した「水道使用量等のお知らせ」票の裏面を利用した啓発広告や、全戸配付による各種啓発事業を実施したことに伴い、潜在的な相談の掘り起こしが行われたことがあげられます。

【主な相談内容】

○架空請求・不当請求についての相談
メールや電話などにより、利用した覚えのない商品の購入代金や、アダルトサイト・出会い系サイトなどの利用料金を請求する「架空請求」や携帯電話やパソコンのサイトの画面をクリックしただけで、あたかも利用契約が成立したかのように思わせて法外な料金を請求する「不当請求」についての相談が2946件あり、総件数の12・9%を占めています。そのうち「ワンクリック請求」に関する相談は、1771件と年々増え続けています。被害に遭わないためには脅し文句や甘い言葉に騙されず、相手には連絡はせずに毅然とした態度で無視することが大切です。

○賃貸アパートに関する相談
退去時に高額な補修費用を請求されたり、次の入居者のためのリフォームやハウスクリーニング費用を請求されたなどという相談が1233件ありました。
退去時の確認には必ず立会い、貸主や管理会社と確認することが大切です。

○携帯電話に関する相談
相談件数は707件ですが、前年度比27・6%増と急激に増加しています。
スマートフォン(多機能携帯電話)の急速な普及にともない、スマートフォンの特性を十分に理解せず利用して、様々なトラブルが発生しています。また、機器の早期故障、故障の頻発などの相談が多数寄せられました。

○フリーローン・サラ金に関する相談
フリーローン・サラ金に関する相談は420件あり、ヤミ金融に関する相談や多重債務に関する相談が半数以上を占めています。
多重債務に陥らないためには、安易にクレジットやローンを利用しないことです。
借金問題は必ず解決できます。消費者センターでは、こうした借金問題の解決を図るため、関係機関と連携し、多重債務相談会を開催したり、相談窓口を案内するなど、解決に向けての助言を行っています。

○高齢者を狙う悪質商法についての相談
「点検商法」や「SF(催眠)商法」、「かたり商法」についても昨年同数程度の相談が寄せられています。
また、未公開株、投資信託、海外先物取引などの金融商品に関する相談(501件)のうち、60歳以上の方が当事者の割合が63%と非常に高くなっています。複雑な仕組みの金融商品を「高額配当が受け取れる」「損はしない」などと言葉巧みに勧誘され契約したところ、利益が出るどころか殆どお金が戻らなかった、などという相談が寄せられています。
昨年度は特に、和牛信託に関する相談や医療機関債、匿名投資組合が勧誘している金融商品等について相談が多く寄せられました。
過去に未公開株やファンド型投資商品で被害にあった方に、被害回復を装い新たな金融商品等の購入を勧誘(二次被害)する悪質なケースもありました。取引内容がよくわからない、説明を受けても理解できない契約は、曖昧な返事はせずにきっぱりと断ることが重要です。

【消費者センターによるトラブルの解決と被害の救済】

○クーリング・オフの助言
 訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引を始めとする一定期間内にクーリング・オフが可能な契約についての相談に対しては、クーリング・オフ制度の活用とその方法などを助言しています。助言した相談案件は810件ありました。

○あっせんの実施
消費者が自主交渉を尽くしても問題解決が困難であり、事業者の販売方法等に法令違反などの問題点がある場合には、消費者と事業者の間に入ってあっせん交渉を行うことにより被害の救済を図っています。

平成23度にあっせんを行った相談案件は908件あり、そのうち88%である799件をあっせん解決しました。

【訪問購入の規制について】

「古着や不用品を買い取る」などと電話があり来訪を承諾したが、実際は当初の話になかった貴金属の買い取りを持ちかけられ、事業者をすでに家の中に通していて断りにくかったため、しかたなく指輪数個を見せると、この指輪を買い取っただけで帰って行った。最初から貴金属だけが目当てだったのではないか、などといった訪問購入の相談が寄せられています。
訪問購入については特定商取引法が8月に改正されましたが、同法の施行日まではクーリング・オフの制度はありません。買い取られた商品は、あとで返品してもらおうとしても、さまざまな理由をつけられて取り戻せないことがほとんどです。買い取ってもらうつもりがないときは、きっぱり断りましょう。

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