随意随想

「元気なうちから はじめよう 介護予防」

大阪市福祉局高齢者施策部介護予防事業担当課長 岡本 喜一郎

平成25年の年齢別推計人口によれば、大阪市の人口は268万3、487人で、65歳以上の高齢者人口は64万3、232人で、総人口の24・0%となっています。また、健康や介護の問題が増加してくる75歳以上の高齢者人口は30万5、303人で総人口の11・4%となっています。

このような高齢化の進展により、介護や支援を必要とする高齢者は年々増加しており、介護保険制度における要介護(要支援)認定者数は平成25年3月末現在で14万3、841人で、65歳以上の高齢者の22・5%となっています。

介護が必要な状態になることをできる限り予防すること、要介護状態にあってもその悪化をできるだけ防ぎ、自立した自分らしい生活がおくれるよう、介護予防の取り組みがますます重要になっています。

【なぜ介護予防が必要なのか】

「もう年だから」、「おっくうだから」といってからだを動かさなかったり、外出の回数が減ったり、「食欲がないから」といって食事を抜くなど、ちょっとした原因で筋力やバランスを保つ力が低下して、つまずいたり、転倒したりしやすくなります。また人との交流や会話が減ったり、頭を使わない生活をしていると認知症につながることもあります。

高齢者が介護を必要とする原因は、認知症や、高齢による衰弱、関節疾患、骨折・転倒など生活機能の低下によるものが多くみられます。これらはからだや頭を使わない不活発な生活が原因で起こりやすく、高齢になるほど増える傾向にあります。

加齢に伴う心身の衰えは完全に避けることはできませんが、不活発な生活から起こる衰えは遅らせることは可能です。日頃の生活習慣を見直し、意識して体を動かすことや、趣味を続ける、友人・知人との交流といった生きがいや楽しみを見つけるなど、できることから介護予防に取り組むことが大切です。

【介護予防のポイント】

できることから、無理をしないで取り組むことが大切です。

▼生活習慣
・日用品の買い物や料理、洗濯などの家事は、生活の中でできるからだと頭のトレーニングです。男性も積極的に行いましょう。
・部屋の片づけやゴミ出しなど、自分でできることは面倒でもできるだけ自分で行いましょう。
・家族や友人、近隣の人とできるだけ会話をしましょう。おしゃべりは、お口と頭のトレーニングになります。

▼筋力アップ

最近では、骨、関節、筋肉などの働きが衰えることで介護が必要になったり、要介護になる危険の高い状態を「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」と言われています。年をとると、筋力やバランスを保つ力が低下し、自分では足を上げたつもりでも、わずかな段差でつまずいたり、バランスをくずして転倒しやすくなります。

足腰の筋力アップは、転倒の予防になるだけでなく、活動範囲が広がります。足腰の筋力を鍛えるため、「歩く」ことなど積極的に運動をしましょう。

▼栄養改善・お口のケア

高齢になると食事の量や回数が減りがちになり、低栄養を招きやすくなります。また、歯の数や唾液の分泌の減少、噛む力や飲み込む機能の衰えなどからお口の健康の問題がおこりやすくなります。
・1日3回食事を規則正しくとりましょう。
・バランスのとれた食事内容を心がけましょう。
・丁寧に歯磨きするなどお口を清潔に保ちましょう。

【大阪市の介護予防事業(二次予防事業)】

大阪市では要介護・要支援状態になるおそれのある65歳以上の方を対象として介護予防事業(二次予防事業)を行っています。

生活習慣や筋力、栄養、お口の状態など25の質問からなる「基本チェックリスト」で“からだの元気度”をチェックし、一定の項目に該当し“からだの元気度”が衰えている方には、介護予防事業(二次予防事業)の参加をお勧めしています。

「基本チェックリスト」は要介護認定を受けておられない70歳以上の方に毎年お送りしていますので、お手元に届いたら“からだの元気度”をチェックしてください。

詳しくは、お住まいの地域を担当する地域包括支援センターまたは区役所の地域保健活動業務担当にお問い合わせください。

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